某日系アメリカ人、〇バート・キヨサキ氏の有名な著書(読んでないけど)の有名な言葉。
資産とは、あなたのポケットにお金を入れてくれるもの
負債とは、あなたのポケットからお金を取っていくもの
いやいやいやいや。
資産は貸借対照表(バランスシート)の左側にあるもので、負債は右側にあるものです。
簿記を少しかじった人なら、こうツッコミを入れたくなった人は多いでしょう。
左側にあるのは、貸借対照表(バランスシート)では資産だけど、損益計算書(プロフィット・ロスアカウント)では経費。
つまり、資産と経費は紙一重なのです。(これはまた乱暴な理論ですが。)
モノやサービスを買うと、通常、キャッシュが出ていきます。
キャッシュが出ていった結果がバランスシートに滞留している場合は資産で、プロフィット・ロスアカウントに落とすと経費になるわけですね。
ちなみに、一旦バランスシートに滞留させた資産を、少しずつプロフィット・ロスアカウントに落としていく事が、減価償却なわけです。減価償却は、あくまでも会計処理であり、実際の取引ではありません。
ただ、いくら資産と経費が同じ左側とはいえ、ある支出(キャッシュアウト)を、資産と計上するか経費と計上するかの区別は、会計において最重要項目の一つです。
資産とするか経費とするかで、その結果である、バランスシートとプロフィット・ロスアカウントは大きく異なるものとなるからです。
紙一重とは言え、その紙は、けっこう厚紙なのです。
会計士の仕事とは、ある「支出」が資産が経費かを判断する事で成り立っている言っても過言ではありません。
いや、やっぱりそれは過言かな。
他にもいろいろ、仕分けにおける重要項目はありますので。
でもやっぱり、資産か経費かの判断は、仕分けの最重要項目の一つで、特に、研究開発費を資産とするか経費とするかなんてのは、なかなかグレーなエリアであり、企業の経理と監査人の意見が衝突するポイントであったりするわけです。
ここで、〇バート・キヨサキ氏の話に戻りますが、持ち家が負債なんてのは、会計の世界ではまず考えにくい。
どんなに資産価値が低くて経費ばっかりかかる不動産でも、不動産は左側。
〇バート・キヨサキ氏特有の「資産と負債の定義」は、一般的な会計における資産と負債の定義とは全く異なるものであり、それ故に、人々の目を惹いたのだと思います。
というか、目立つ為に、わざと乱暴な定義を示したのではないかという感もあります。
いくら、その本の中だけの定義だとわかっていても、経理マンなら、一応、ツッコミたくなりますもんね。
まあ、〇バート・キヨサキ氏の言いたい事も、分らないことはないですが。
分らないことはないのですが、でもやっぱり、ワタシとしては、手放しに彼の主張に賛同する事もできないのです。
読んでないけど。
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