ワタシが、会社員生活にホトホト疲れてアーリーリタイアを決心したのは、たしか2017年の夏頃の事だったでしょうか。
はじめは、すっぱり仕事を辞めて、アーリーリタイアしようと考えていたのです。
ですがその後、ふと何を思ったのか、「セミリタイアもいいかも」なんて考えるようになりました。
アーリーリタイアするか、セミリタイアするか。
ワタシの場合、夫がまだフルタイムで働いていますので、つまり、ワタシにとってこの選択は、専業主婦になるか、パート主婦になるかという選択とほぼ同義であります。
そしてワタシは、セミリタイアを選んだわけですが、その最大に理由は、「公的年金」にあるかもしれません。
先日の記事、世帯主という概念でもふれましたが、英国では、夫が無職の妻(専業主婦)を扶養していたとしても、個人所得税も年金も、なにも優遇してもらえないのです。
妻が無職の夫(専業主夫)を扶養していても同様です。
ちなみに、子供も同様です。扶養する子供が何人いようが、税金の優遇はありません。
子供手当というものがありますが、高収入になると、子供手当をもらった分、所得税が増えて相殺されるという悪魔ぶり。
もちろん、日本の国民年金第3号被保険者みたいな有難い制度はありませんので、英国で特に理由もなく無職でいると、将来「公的年金」がもらえなくなってしまいます。
そして、英国の「公的年金」には、日本の厚生年金みたいな「遺族年金」がありませんので、自分自身の年金がないと、かなり不安です。
まあ、「確定拠出年金」は相続できますので、めいっぱい「確定拠出年金」に拠出しておくという対策は可能ですが。
英国の「公的年金」は、National Insurance と呼ばれる、一種の税金を納めていた年数によって、受給資格と金額が決まります。
なのでワタシは、将来の「公的年金」を確保する為に、ギリギリ National Insurance とTax が課税される程度の収入で、細く長く勤めていこうと考えたのです。
なので、セミリタイアというわけですね。
ちなみに、課税年度2020年では、年収 9,516ポンド(約128万3千円)以上で National Insurance が課税されます。
本人負担の National Insuranceは、年収 9,516ポンドを超えた金額の12%になります。
もし、50ポンド(6700円)超えちゃった場合(つまり、年収 9,566 ポンドだった場合)、支払う National Insurance は 6ポンド(約800円)となります。
そして、その年は、「National Insuranceを支払った年」として、「公的年金」の受給資格と金額を算定する際の「1年」とカウントされます。
もっとたくさんお給料をもらってる人は、もっとたくさんの National Insurance を支払っているわけですが、年間あたり、どれだけ払っても、その年は、「National Insuranceを支払った年」の「1年」としかカウントされません。
日本の厚生年金のように、支払い金額に応じて受給金額が増減する訳ではありません。
なのでワタシは、National Insurance を、税金の一種と理解しています。
というか、英国人は、National Insurance を、税金の一種と理解しています。
日本では、National Insurance は社会保険料とか、国民保険料と訳されるので、給与明細でNational Insurance が引かれてるのをみて、厚生年金か健康保険みたいなものだと誤解する日本人の方が多いのですが、違います。
National Insurance は、税金の一種です。
閑話休題。
というわけで、英国の税制や社会保障制度を学ぶうちに、ワタシとしては、ギリギリ National Insurance とTax が課税される程度の収入で、細く長く勤めるのが最善策だと結論を出したのです。
もし英国に、日本の国民年金第3号被保険者みたいな有難い制度があれば、すっぱりアーリーリタイアしていたかもしれません。
そう考えると、国民年金第3号被保険者という制度の存在は、日本女性の社会進出を大きく阻害しているのかもしれませんね。
経済的にも、心理的にも。
この制度こそ、女性を家庭に押し込める事によって、男性を馬車馬のように働かせて実現した、高度経済成長の遺物だと思うのです。
ワタシ個人としましては、終身雇用制度が危うくなってきている今の日本では、国民年金第3号被保険者も見直しが必要だと思うのですが、この話題はもはやタブーとなってしまっていますからねえ。
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