Thursday, 11 June 2020

世帯主という概念

コロナ禍に係る10万円の特別定額給付金、世帯主が申請、受給という事で、物議を醸し出していますね。

政府としては、何よりもスピードが大切、ということで、支払い手続きをスピードアップするために世帯単位としたということです。

確かに、個人での申請となると、申請書の数も振込手続きの数も倍増(というか、きっと倍以上)しますので、スピーディに給付するためには、世帯単位というのは苦肉の策なのでしょう。

対象者が、「納税者」ではなく、「住民基本台帳に記録されている人」という事で、生まれたばかりの子供でも受給できるということです。

子供にも支給する事にしたのは良いけど、子供は銀行口座も持ってない可能性が高いし、そんな場合はどうせーっちゅうねん、って考えたら、もう面倒くさくなって、「こうなったら、世帯でくくってしまおう」となったのかもしれませんね。

英国では、コロナ禍に係る給付金は、基本、休業補償であり、それに該当しない人は、生活保護を申請という感じです。(生活保護の申請基準が緩和されたようですが。)

英国には、そもそも住民票というものがありませんので、日本みたいな、住民票に登録された「世帯」というものは存在しません。

同居配偶者が無職で扶養していたとしても、個人所得税も年金も、なにも優遇してもらえません。

英国は、健康保険はNHS(国民保健サービス)で無料なので関係ないし。

日本の国民年金第3号被保険者みたいな有難い制度はありませんので、英国で特に理由もなく無職でいると(専業主婦とか)、将来、公的年金がもらえなくなってしまいます。

英国で特に理由もなく無職でいるのは、「公的年金なんて不要」というお金持ちか、または、生活保護を受給している人か、どちらかです。

閑話休題。

とまあ、あくまで個人主義の英国ですが、コロナ禍で、世帯(Household)という単語がにわかに脚光を浴びています。

というのは、都市封鎖下の英国で、皆が口をそろえて繰り返す、「ソーシャルディスタンス」なるものは、異なる世帯(Household) の人に適用されるものだからです。

英国の「ソーシャルディスタンス」の基準は2メートルなのですが、同じ世帯(Household)の人とは、外を歩く時も、2メートル離れなくて良いんです。

まあ、当たり前って言っちゃあ、当たり前やな。

この、世帯(Household)という概念、どうやら欧米では、子供に説明するのが難しいみたいですね。

ニュージーランドかどこかが、バブル(泡)という単語を使って、子供に説明していましたね。

先日、公園を散歩していたら、若いお母さんが小さな子供に、

「私たちは、家族だから一つのバブルの中にいるのよ。そしてあの人たちは、別のバブルに入っているの。あなたは、私たちのバブル中にいなきゃダメなのよ。」

って、一生懸命説明してました。

公園なんかでは、小さな子供は糸の切れた凧みたいに走り回ってしまう危険性がありますからね。

それ以外に、世帯(Household)という概念に遭遇するのは、税関申告書でしょうか。

日本の税関申告書もそうですが、どうやら税関申告書っていうのは、一世帯(Household)につき一枚の提出という国が多いみたいです。

飛行機の中では各自に配ってくれるのに、家族一枚しか使わないから、いつも余ってしまってもったいないですよね。

たしか、キューバに行った時だったと思うのですが、やはり飛行機の中では、夫とワタシ各一枚ずつ税関申告書をもらったのです。

なので、それぞれで記入して、いざ税関で提出しようとすると、一世帯(Household)に一枚で良いとのこと。

その瞬間、ワタシと夫(ミャンマー人)の間に、緊張が走ったのです。

どちらが提出するか?=どちらが世帯を代表するか?

夫(ミャンマー人):つまりこれは、どちらが Chief of household かっていうことだよねえ。

ワタシ:えええ。じゃあ、ワタシのを提出しましょう。

なんて言いながら、結局どちらのを提出したか、もう忘れてしまったので、ワタシ達にとっては大した問題ではなかったのですが。

世帯主っていう概念、日本ではまだまだブイブイいわしているみたいですね。


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