Sunday 30 December 2018

課税所得の圧縮による副作用

先日、iDeCo について拠出額上限の日英比較をしましたが、
NISAの日英比較をする前にふと疑問に思った事があるのでここにメモします。

英国では、年金へ資金を拠出する主な目的は、
もちろん節税と老後資金の形成の為です。

ですが、もう一つ忘れてはいけないのは、
年金に資金を拠出する事によって節税するという事は、すなわち
「課税所得を圧縮することによる節税」であるという事です。

つまり、日本で人気の住宅ローン減税とかふるさと納税とは
性質が異なります。

そして、「課税所得を圧縮する」事による副作用を忘れてはいけません。

まずパッと思い浮かぶのは、これから住宅ローンを借りようとしている人の場合。
年金拠出で節税のやりすぎは、ネガティブな副作用が起こると思います。

通常、住宅ローンの申請には所得を証明する書類を提出しますが、
それに課税証明を使用する場合、課税所得を圧縮する事によって、
住宅ローンで借りられる上限額が下がってしまいます。

自営業で住宅ローンを借りようと計画している人が、
数年間は、確定申告にてわざと税金を多めに払って(収入を多く見せて)
住宅ローンの審査に備えるというのは、クラシックなテクニックです。

住宅ローンを借りていない人は、いくら節税のためとはいえ、
多額を年金に拠出するのは得策ではないと思います。

この辺り、日本の銀行の審査はどのようにして行われているのでしょう?



もう一つは、Child Benefit (児童手当)を受けている人の場合。
こちらは、ポジティブな副作用でしょうか。

英国にも、日本で言う子ども手当てのようなものがあるのですが、
年収5万ポンド(約7百万円)を越えると、この手当てが段階的に削減されていきます。

なので、もし、近い将来に住宅ローンを借りる予定がない。
もしくは、借りるとしても、5万ポンド未満の年収ベースで借りられる金額でOK
という人で、子どもがいる人の場合、年収5万ポンド未満になるように
年金に拠出するというのも、一つの手です。

日本の場合はどうなのでしょうか?

素朴な疑問なのですが、iDeCoに拠出したら課税所得が減るのであれば、
所得制限のある各種給付金や、特に今問題になっている、
高等教育の無償化に係る所得制限などについて、
例えば、所得制限のラインギリギリちょっと上くらいの人が、
iDeCoに拠出する事によって所得制限内まで課税所得を減らす、
というのはアリなのでしょうか?

もしアリなら、所得制限のラインギリギリちょっと上くらいの人にとっては、
検討の価値ありかと思うのです。

日本はケチだから、無理かなあ?

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