Monday 4 November 2019

英国に密入国しようとして凍死してしまったベトナム人女性の話がやるせない。

先日、英国のロンドン郊外の港の近くで、トラックのコンテナから密入国しようとしたと思われる39人の男女の死体が見つかるという、痛ましい事件がありました。

どうやら、39人全員がベトナム人であるらしいとの事。

亡くなった方々の一人と思われる、一人の若い女性の記事を読んだのですが、なんとも痛ましくてやるせない気持ちになりました。

英コンテナ39人遺体 日本で働いたベトナム女性は再び異国へ渡り亡くなった
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/10/phm-th-tra-my_1.php

~~~~~~~ 記事抜粋~~~~~~

ゲアン省のパン・バン・ティン氏は「私の娘は10月3日にベトナムを出発し、フランスとイギリスに渡航するために中国に行った」という報告書をベトナム当局に提出。26歳になる娘パム・ティ・トゥラ・マイさんが犠牲者に含まれている可能性が極めて高くなっている。
ママ、ごめんなさい。私の海外渡航は失敗する......
トゥラ・マイさんは中国から欧州に向かう際、不法な密入国のために8億9200万ベトナム・ドン(約3万ポンド)を支払わなければならなかったという。

ベトナムの家族にトゥラ・マイさんから入った連絡はベルギーからで、10月22日午前7時22分(ベルギー時間)に「これからコンテナに入る、探知されないために携帯電話をオフにしなければならない」という内容だったという。それが直接会話をした最後になったと家族は話している。

その後、トゥラ・マイさんから母親に携帯電話のショートメッセージが送られてきたが、そこには「ママ、ごめんなさい。私の海外渡航は失敗する。死にそう。息ができない」という内容で、これを最後に連絡が途絶えた。

娘からのSOSを受け取った母親は、すぐに海外渡航業者に連絡を取り、業者が現地の業者を通じてトラックの運転手になんとか連絡をつけた。しかし、運転手が停車してコンテナを開けた時にはすでにコンテナ内の39人全員は死亡していたという。

<日本でも3年間働いたことがあるトゥラ・マイ>

家族の話しによるとトゥラ・マイさんは身長1メートル50センチ、体重46キロと小柄で3人兄弟の末っ子。以前にも家計のために大学を中退し、日本で3年間就労した経験があったという。9月によりよい仕事を探すために英国渡航を決意、中国に渡ってイギリスに向かう書類を準備していたという。

トゥラ・マイさんらが利用したベトナムの業者(人身売買業者)によると、欧州での仕事を希望するベトナム人はまず中国に行き、偽造の中国旅券などの必要書類を用意。その後ベルギーに渡航し、そこから大型トラックのコンテナで英国に密入国するルートが一般的という。

コンテナは国境での荷物検査を逃れるため冷凍コンテナとして登録され、実際の検査があるときには検査官の目を逃れるためにコンテナ内の温度をマイナス25度まで下げるという。国境での検査中という短時間とはいえ、マイナス25度のコンテナ内では死亡する事例も多いという。
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その女性は、以前にも日本3年間就労した経験があったということです。

日本へは、どうやって渡航したのか記されていません。
考えられるのは、技能実習生としての渡航か、学生ビザでの渡航、観光ビザで渡航して不法滞在、くらいでしょうか。そのうちのどれであったとしても、彼女の日本でも生活は、かなり過酷なものだったのではないかと思われます。

やっと故郷にもどったのに、次は英国に渡航することを決心したという事は、日本で働いた3年では十分なお金を貯める事ができなかったのでしょうか。

それとも、3年くらいの出稼ぎでは、とうてい返済できないほどの多額の借金を、家族が抱えいるのでしょうか。

おそらく、家族が強要したわけではないと思うのです。

彼女が自分で決心したのだと思うのです。

何らかの事情で、経済的問題を抱えてしまった家族を助ける為に。

大学を中退して日本に渡ったという事は、彼女の家庭は、彼女を大学までやるだけの経済力があったのです。

ベトナムで大学を卒業したならば、けっこうまともな職業について、悪くない収入を得ることができるだろうと思うのですが、そんな悠長な事を言ってられないような、何か緊急な事が起こったのでしょう。

なのでこの女性は、家族を助ける為に、自分が大学を中退して日本に出稼ぎに行こうと決心したのだと思います。

そして、それ以降、彼女はずっと、家族の為に働きづめの人生だったんだと思うのです。

もし彼女が、日本での生活を少しでも楽しんでくれていたならば、せめてもの救いですが。

夫(ミャンマー人)が言うには、発展途上国の貧困層の生活は、毎日が綱渡りなのだそうです。

例えば、一家の大黒柱である父親が病気になって働けなくなってしまったら、収入が途絶えて、おまけに医療費がかかるようになるわけで、一家のそれまでの生活が崩壊してしまうのです。

貧困層の家庭の多くは、その日暮らしで、いざという時の為の蓄えなど持っていません。そして、日本の健康保険や失業保険のような社会保険制度があるわけでもなし。

家族のなかで、誰でもよいから働けるものが、代わりに働くしかないのです。

最悪の場合、その家の女の子が、水商売や風俗に身を落とす事になる危険性もあります。

そして大抵の場合、貧困層の子供達って、親孝行なんです。

家族の為ならばと、自分を犠牲にして働くことを申し出ます。

そして悲しいことに、貧困壮の親と言うものは時として残酷になるもので、その申し出を受け容れてしまうのですね。

止めても聞かなかったのかも知れませんが。

この痛ましい事件から、そういう発展途上国の貧困層の家庭の状況が見え隠れして、やるせない気持ちになってしまうのです。

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