日本の個人型確定拠出年金 (iDeco)のせこさについて驚いていました。
ただ私は、個人的には、いくら節税になるからと言っても、
若いうちから大金を確定拠出年金に拠出する事は、
あまり得策だとは考えておりません。
金融資産でありながら、流動性に大きく欠けるからです。
一旦拠出してしまったら、60歳までその資金には手をつけられない、
つまり60歳になるまでは、その資金はないのと同じです。
もし今20代での人であれば、今後30年間以上もの長い間、
その資金に手をつけることが出来なくなるわけです。
30年って、何が起こるかわかりません。
家を買う時に、あとXXX万円余分に頭金を準備できたら、
気に入った物件に手が届く、とか、
教育資金が足りない、とか、
最悪の場合、病気になって治療費や入院費を工面するために
現金が必要になるかもしれません。
そんな時に使えないお金なんて、無いのと同じです。
60歳になるまでの間、iDeco に拠出した資金は捨てたのと同じなのです。
なのでまあ、私としては、前回の記事では文句を言ってましたが、
文句を言いつつの、実はまあ、iDeco はせこくっても良いかなと思うのです。
貯金・節約好きな日本国民に、あまり多額の非課税枠を与えてしまうと、
所得税節税というエサにつられて拠出しすぎ、今の資金繰りに困窮する、
「iDeco 貧乏」なるモノを生み出してしまう可能性がありますからね。
限度額一杯拠出しても、「iDeco 貧乏」にならない程度の金額に
非課税枠を抑えておくのは、国民のためなのかもしれません。
しかし、もう一つの投資推進制度、NISA は少し話が違います。
そして、NISA もせこい!
さて、NISA とは何ぞや?
NISA とは、英国の ISA(Individual Savings Account : 個人貯蓄口座)
をモデルとした日本版の個人貯蓄口座制度で、日本版 ISA ということで、
NISA(Nippon Individual Savings Account)と名付けられたようです。
英国の ISAがモデルになっているということなので、
英国の ISA と比べてみましょう。
NISA とは、1人1口座のみ開設可能な、株式・投資信託の口座で、
この口座を使用して購入した株式・投資信託から得られる
配当金や譲渡益が非課税となる制度です。
投資可能金額の上限は1年あたり120万円。(ちょっとせこい。)
最長5年間の投資が可能です。(せこい!)
つまり、生涯で最大600万円の株式や投資信託への投資にかかる
利益が非課税となります。
iDeco とは異なり、どうしてもお金が必要になった場合は
解約して引き出すことが可能です。
(その分の非課税枠を失うだけ)
NISA はどうやら、期間限定の制度のようで、
投資可能期間は、2014年~2023年の10年間のようです。(これもせこい!)
まだ始めていない人は、最長5年間の利益を享受するためには、
2019年の今年から始める必要がありますね。
まあ、これは延長される可能性もあると思いますが。。。
さて、この制度のモデルとイギリスの ISA はどんな制度かと申しますと。
1人1口座のみ開設可能(日本と一緒)
株式・投資信託だけでなく貯蓄もOK。(ちょっと違う)
配当金や譲渡益、利息が非課税となる。
投資可能金額の上限は年間2万ポンド (英国太っ腹!)
最長何年とかの制限なし。毎年非課税枠がもらえます。(英国太っ腹!)
実は英国でも、私が英国に来た頃(2001年)は ISA 枠はもっと少額で、
年間7,000ポンド(約100万円)くらいだったのです。
ですが、それから18年の間に、あれよあれよと非課税枠が引き上げられ、
現在の年間2万ポンドにまで上ってきたのです。
英国でも、日本同様、国民の貯蓄や投資を奨励するために
この制度を導入し、非課税枠を年々引き上げているわけですが、
まあ、この18年間でインフレで物価が下がっているとはいえ、
この非課税枠の上げ方は、なかなか太っ腹だと思います。
英国政府の本気度が見えるというか。
国民としても、ISA は年金とは異なり、もし現金が必要な時には
引き出すことができますので(その分の非課税枠を失うだけ)
気軽に始めることが出来ます。
そして毎年、年間2万ポンドの非課税枠を利用して
貯蓄・投資をしていけば、ちょっとした財産を築く事が出来ます。
(というか、毎年枠を使い切る事ができません。)
これはとても良い制度なので、重宝しています。
若い人にとっては、年金よりも ISA の方が良いと思います。
日本の NISA も良い制度だと思うのですが、、、ちょっとせこい。
年間120万円は許せるとしても、
それができるのが最長5年で、生涯最大600万円ってのがせこい!
日本政府も、もうちょっと本気見せてくれたら良いのになあ。
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