Saturday, 26 January 2019

イギリスの公的年金 (State Pansion)

英国の State Pension (公的年金)。

強いて言えば、日本の国民年金に一番近いでしょうか。
年金制度そのものが異なるので、一概には言えませんが。

基本的に、サラリーマンも自営業も、年収がある一定の金額を超えると
National Insurance という一種の税金の支払い義務が発生し、
National Insurance を払い込んだ年は Qualifying year と呼ばれ、
公年金の支給額は、Qualifying year の数によって決定されます。

満額もらうには、35年の Qualifying yearが必要です。

イギリスでは2016年から制度が変わりました。

2016年以前の制度では、払った金額によって受給金額も増減したのですが、
(つまり若干、厚生年金的要素もあったのです)
新制度に移行後は、払込金額によって金額は増減しません。

金額に反映するのは、払い込んだ年数のみです。
そういう意味で、日本の国民年金に近いものになったという感じです。

しかし、大きな違いがあります!

日本の国民年金の保険料は収入に関係なく一定金額であるのに対し、
National Insurance は、収入に比例して金額が上っていくのです。

それなのに、払込金額が年金受給金額には反映されないという、
高所得者にはえげつないシステムです。

National Insurance という字面から、社会保険料のような印象を受けますが、
支払う金額が受取る金額に反映される、日本の社会保険料とは異なります。

特に高収入の人達にとっては、支払う金額と受取る恩恵(リターン)の
バランスがとれていないので、どちらかというと、
税金=富の再配分という性質が強いのです。


まず、恩恵の一つである国民保健サービス(NHS)は、
National Insurance 払っていようがいまいが、
英国人や英国永住者(EU市民を含む)なら無料で利用できます。
(短期滞在者は有料、期限付き長期ビザでの滞在者は、
ビザ発行時に別途NHS保険料が徴収されているようです。)

そして、現役時代に National Insurance を払ってなくて、
年金が少額、もしくは最悪の場合、無年金で老後を迎えても、
公的年金受給額が生活保護額より低い場合は、
差額の生活保護費が給付されますので、なんとかなります。

つまり、高収入の人達は、ただでさえ高い個人所得税に加えて、
低収入の人より多めに National Insurance  を払っているにも関わらず、
いざ、受け取る段になると、低収入の人と同じ恩恵(リターン)しか
受け取れないのです。

足りない分は、プライベートの医療保険に入ったり、
企業年金や個人年金、投資などで老後に備えます。


英国は Social Democracy(社会民主主義国)であり、
収入が増えれば増えるほど、個人の税負担はえげつなく上昇し、
その分が低収入・無収入の人達へまわされます。

なので英国は、法人税率を下げて外国企業の誘致を促しているのだと思います。
法人税収入は減るかもしれませんが、外国企業を誘致することによって、
雇用が確保されれば、個人所得税がガッポリ取れますからね。

そして、養わなければならない失業者の口が減るので、
国としては万々歳なんだと思います。

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