Friday 10 May 2019

扶養家族という概念

日本には、「扶養家族」という概念があります。

そして、日本の税制をはじめとする様々な制度は、、
会社員である一家の大黒柱の「扶養家族」となる事によって、
大黒柱側も、扶養家族側も、さまざまな恩恵を享受することが出来ます。

例えば、、、
  • 多くの会社の給与体系に「扶養家族手当」がある
  • 個人所得税における、配偶者及び子に係る扶養控除
  • 国民年金における、国民年金第3号被保険者*
  • 健康保険の被扶養者**

* 第2号被保険者(つまり会社員)に扶養されている配偶者は
国民年金第3号被保険者となり、実際に保険料を納めることなく、
将来年金を受給する事ができます。

第1号被保険者(つまり自営業者)に扶養されている配偶者は
この限りではありません。
自営業者の被扶養配偶者は、配偶者自身も第1号被保険者となり、
別途、国民年金保険料を納める必要があります。

** 会社員が加入する健康保険の場合、追加保険料なしで
扶養家族を被扶養者として保険に加入させることができます。
自営業者が加入する国民健康保険でも、扶養家族を被扶養者として加入させることは可能ですが、扶養家族の頭数によって、保険料が上ります。

こうしてみてみると、「被扶家族」が優遇されているというよりは、
「会社員の扶養家族」が優遇されているような感じですね。


ちなみに、英国には扶養手当とか扶養控除などと言うものはありませんので、

私がセミリタイアしようが本リタイアしようが、
夫の税金や年金には全く影響はありません。

逆も然り、夫がセミリタイアしようが本リタイアしようが、
私の税金や年金には全く影響ありません。

配偶者が専業主婦(夫)でも、独身と同じ所得税計算です。
子供が何人いても同じ。(子供手当てはありますが。)

そして、放っておいたら専業主婦(夫)している人は無年金になってしまうので、
自主的に、National Insurance Voluntary Contributionと呼ばれる税金を払います。
2018/19年度は、年間762 ポンド(約11万円)。
これは、国民年金みたいなものですね。年間

ただし、下記のいずれかの該当する場合は、無職期間に
National Insurance Voluntary Contribution を支払わなくても、
年金加入期間として記録されます。
  • 12歳以下の子供の児童手当(Chile Benefit)を受給している
  • 失業給付(Jobseeker’s Allowance or Employment and Support Allowance)    を受給している
  • 介護手当て(Carer's Allowance) を受給している
とまあ、こんな感じで、英国には制度上「扶養家族」という概念はありません。
とてもドライに個人主義です。

だから英国では、共働きが多いんだと思います。

日本における制度上の「会社員」の「扶養家族」という概念は、
戦後高度成長期の日本の経済政策であると思います。

女性を専業主婦として家庭に入れ、家事と子育てに専念させる事によって、
外で働く夫=サラリーマンが、思う存分仕事に専念できるようお膳立てをしたのです。

そして、外で働く夫は一家の大黒柱となり、
一馬力で家計を支えるために会社に忠誠を誓います。

結果、24時間馬車馬のように働くサラリーマンができあがる訳です。

戦後からバブルくらいまでは、それで上手くまわっていたのだと思います。

でも、今の日本は、当時とは異なります。
経済的背景も、人口構成も、教育水準も、何もかも異なります

今、日本が女性の社会進出を促進し、働き方改革を行うためには、
この「会社員」の「扶養家族」という制度上の概念を
なくす必要があるのではないでしょうか。

日本って、独身会社員と配偶者が専業主婦(夫)プラス子持ちの会社員が
もし同じ額面のお給料をもらってるとしたら、手取りは大きく異なります。

英国だと、額面が同じだったら、独身だろうが、
配偶者が専業主婦(夫)プラス子持ちだろうが、手取りは同じです。

そうなると、共働きがぐっと進むと思います。

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