先日、経団連の中西宏明会長が、かなりの爆弾発言をされましたね。
経団連会長“終身雇用を続けるのは難しい”
まあ、これが、企業の本音だと思います。
この発言に対して、色々な立場の人が色々なツッコミをしていますねが、
氷河期世代に四大卒女子という最悪のスペックでの就職活動を経験した
という立場のワタシとしましては、こう思うのです。
終身雇用制度の崩壊は、非正規社員にとっては朗報かも?
長い目で見れば、労働者全体にとって朗報かも?
なぜならワタシは、
終身雇用制度が企業の正社員雇用を抑制している
と考えるからです。
終身雇用を続けるとなると、企業側としては、
正社員一人を雇う際に、将来的なコストとして、
その人の生涯賃金、すなわち、一人当たり二~三億円を
見積もらなければなりません。
正社員採用=二億円の買い物です。
そりゃ、企業としても、安易に正社員なんて採用できないですよね。
景気が悪くなってもクビにできない正社員を、すでに沢山抱えている会社では、、
新しい正社員を雇い入れる勇気も経済的余裕もないでしょう。
だって、一人二億円ですからね。
でもそれが、例えば、ある程度の解雇手当で正社員を解雇できるとなれば、
もっと、正社員雇用へのハードルが低くなると思うのです。
例えば、新規に5年プロジェクトを始めるとします。
そのプロジェクトが、どんなに利益がでそうなプロジェクトでも、
5年で終わってしまうということは、そのプロジェクトに必要な人員を、
終身雇用の正社員として雇うことはできません。
新卒採用の数だって、5年プロジェクトの為に安易に増やすことはできません。
だって、一人二億円ですから。
日本の場合、そういった場合は、既存の正社員の一人あたりの
負担を多くしつつ、非正規社員を雇い入れることによって
その5年プロジェクトを乗り切ることでしょう。
でも、既存の正社員は、業務量が増えて疲弊しますし、
非正規社員は、せっかくプロジェクトの為に5年働いたのに、
その5年間の働きは、履歴者的にキャリアと認めてもらえません。
でも、例えば、正社員の解雇がもっと容易になれば、
5年間のプロジェクト担当として、正社員を雇い入れるという選択肢があるのです。
プロジェクトが終わる5年後に、社内に他の案件があれば、
他のプロジェクトに異動しても良いし、
なければ、プロジェクトの成功報酬としてボーナスを受け取って退職、
という条件で、5年間の正社員を雇い入れるのです。
経験者を雇って年間800万かかったとしても、
800万x5年 プラス解雇手当で、5千万もかからないでしょう。
終身雇用の社員を二億円で雇い入れるより、
トータル、1億5千万安くなります。
そうすれば、既存の正社員は疲弊しませんし、
雇い入れた人も、もし退職することになっても、
5年間の正社員のキャリアが形成ができます。
もちろん、その人が素晴らしい人で、
5年プロジェクト終了後も、是非我が社に残って活躍して欲しい!
という人ならば、そのまま残ってもらったらよいですし。
なによりも、企業にとって、正社員を雇いやすくなる、というのは、
労働者にとっても、正社員で雇われやすくなるという事です。
ただ、正社員になったからといって、一生安泰ではなくなるだけです。
でもよく考えてみてください。
いくら正社員になったって、その会社がつぶれたらおしまいです。
そして、自分が勤める会社が、定年になるまでの間、
40年間もつぶれないなんて保証はどこにもないのです。
大企業の正社員の人が、安心しきってのんびり生活していたら、
ある日突然、会社が倒産の危機に陥って、一族郎党大慌て。
バブル崩壊以降、ワタシ達はそんな光景を、幾度となく見てきました。
それなら、正社員の解雇規制を緩和して、
「正社員だって油断できないよ~。」と、皆が普段から
警戒態勢でいるほうが、よいではありませんか。
今の正社員をめぐる就職戦線は、
「ものすごく豪華な、ごく少数の椅子をめぐっての椅子とりゲーム」です。
それを「そんなに豪華じゃないけど、まあまあすわり心地の良い椅子が、
まあまあ沢山ある状態での椅子とりゲーム」にしたら、
今はやりの「格差」とやらが、大分なくなると思うのですよ。
少なくとも、心理的には。
もちろん、実質的な「格差」はなくなりません。
一部の有能な人が高給を得て、そうでない人は低賃金に甘んずる、
という図式は変わらないと思います。
でも、正社員の解雇規制を緩和すれば、
高給取りの人は、結果を出さないとクビになるという
戦国時代のような状態になります。
逆に、低賃金の人は、賃金相応の働きをする限り、
クビになるリスクは、そんなに高くならない。
一般的に、リストラする時は、賃金の高いほうから切りますからね。
そのほうが効率がよいから。
まあ早い話、ワタシは、正社員の待遇改悪を提案しているわけですが、
それには一つ、大切な条件があります。
それは、正社員の解雇規制を緩和すると同時に、
不当解雇に対する罰則を強化することです。
不当解雇に対する罰則を厳しくすると共に、
労働者が会社を訴えるためのシステムが整備されることが同時に必要です。
でないと、日本はさらに、ブラック企業の温床になってしまいますからね。
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