渡英する前は、日本で6年ほど働いていました。
とは行っても、90年代の事ですので、今の日本の労働事情には
すっかり疎くなってしまっているのですが。
でも、日本の経済ニュースなんかをつらつらと見ていて、
特に、ここ数年問題になっている、非正規社員の雇い止めとか、
無期雇用への転換問題とか、そんなのを目にすると、
「なんだかなあ」と感じてしまうのです。
労働者、働いて賃金を得ますが、もらった賃金全部が
そのまままるまる労働者の懐に入るわけではありません。
汗水たらした働いて得た賃金の中から、
個人所得税や地方税を、政府(国や地方自治体)に納め、
健康保険や年金サービスを受けるための
社会保険料を支払っています。
政府にとっては、労働者が支払う税金や社会保険料というのは
大切な税収入の財源の一つなのです。
労働者が働いてくれない事には、その税収入を得ることはできません。
逆に、失業手当や生活保護など、公的資金を流出させる事になってしまいます。
つまり、政府が税収入を得るためには、そして支出を抑えるためには、
労働者の雇用対策と、給与水準の向上というのは必須なのです。
ワタシが、「なんだかなあ」と感じるのは、今の日本の政府は、
この二つに真剣に取り組んでいるようには見えないからです。
上述したように、ワタシは英国で働いて14年になりますが、
英国では日本に比べて、労働者の権利が保護されていると思います。
そして、最低賃金の設定を含め、給与水準がインフレスライドされています。
毎年、電車賃や公共料金が当然の様にインフレスライドで値上げされるのですが、
それにあわせて最低賃金もじわじわと上げられています。
企業も、インフレ率に合わせて昇給するところが殆どだと思います。
労働者側としては、インフレ率の昇給が無い=減給 とみなして
転職を考えるため、従業員確保の為には、
インフレスライドの昇給は必須なのですね。
これは、雇用に流動性があるから可能なことかもしれませんが。
そして、日本で非正規と呼ばれる雇用形態の人達、
英国ではTemp とか Contractorと呼びますが、彼らの給与水準は、
正社員(Permanent Employee)よりも高いのが一般的です。
雇用の安定がない分を、給与でカバーするという発想です。
それでは日本ではどうかと言いますと、
非正規の人達は給与水準が低く、雇用の安定も無い。
それに対して正社員は、給与が高く、雇用の安定もある。
この格差は、ひどすぎる。
格差がひどいから、一旦正社員の地位を獲得した人は、
それにすがりつくため、会社に滅私奉公をする。
会社側としたら、会社に滅私奉公してくれる正社員はある意味使い易いコマで、
長時間労働やサービス残業を強いて使い倒し、
それ以外のコマは、非正規社員を用いて安く使い捨てる、という感じですね。
日本という国は、国の政策が、企業の利益保護に向かっているように見えますね。
なので、個人向けの政策がどうしても、その場しのぎというか、
おざなりなものに見えてしまう。
この構図の原因として、政府と経団連の癒着が言及されますが、
日本政府が経団連と癒着しているのは、日本の法人税率が
国際的に見ても高かった事に起因すると思うのです。
日本では、個人所得税率が比較的低く、法人税率が高い。
よって、国にとっての、主な納税者は個人ではなく法人(特に大企業)。
なので、政府が打ち出す政策が大企業寄りになってしまうのですね。
しかし、近年、日本の法人税は下がっているようですね。
日本企業の国際競争力向上と、外資の日本国内への投資を促すためでしょうね。
そして、法人税を下げた分の税収を、個人所得税と消費税増税で
補おうとしているという所でしょうか。
もし、政府がそのような方向転換を目指しているならば、
企業に利益を出してもらう必要性が下がるので、
もっと労働者に寄り添った政策を打ち出すべきです。
労働者にもっと稼いでもらって、そこから税金徴収するのです。
大切なのは、最も税金を課したい対象に、
沢山稼いでもらえるような政策をとる事です。
法人税減税後も、今まで同様、大企業の言いなりの雇用政策を行って、
企業に儲けさたとしても、その利益から取れる税金は減ってるわけです。
そしてそれをカバーするために個人所得税と消費税をあげたとして、
労働者の賃金があがらない状態でそんな事をしたら、
生活保護に陥る労働者が増加するかもしれません。
そうなると、税収増どころか、支出増となり、
国庫は破綻してしまうと思います。
個人所得税と消費税の増税は、雇用対策とセットにすべきです。
労働者に沢山納めてもらうには、沢山稼いでもらわないといけないからです。
まずは、非正規雇用の人達の給与水準をあげる必要がありますね。
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最近、日本の経済関係のニュースを読んでいて、しみじみ思うのです。
日本の正規社員と非正規社員の格差って、あまりにもヒドイ。
では、外国ではどうなのか?
ワタシは、英国の事しか知りませんので、他の外国の事は何も言えませんが、
とりあえず、日英の雇用環境や税制の違いについて、色々と比較してみました。
サラリーマン手取り金額日英比較(2019年)
日本の税制と雇用格差
正社員と非正規社員の待遇差、日英比較してみる
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