Thursday 26 December 2019

雇用の流動性が高いとお給料が上がると思う。

年末になって、世の中、2019年を振り返りモードになっているかと思います。

日本のニュースを見ていると、今年の景気がああなったとかこうなったとか。

消費税率が10%に上ったのに、お給料が上っていないから、生活は苦しくなるばかりとか。

そうなんですよねえ。

日本って、ここ25年ほどの間、殆どお給料が上っていないのですね。

最低賃金こそ、25年で1.6倍近くに上ってますが、大卒の初任給はずっと横ばいです。

1994年東京最低賃金:634円/時間 
2019年東京最低賃金:1,013円/時間
https://saichin.net/?p=13

1994年大卒男子初任給:19 万2400円
2019年大卒男子初任給:21万2800円
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0404.html

大卒男子初任給は、25年かかってやっと11.6%程度の上昇。

これは、ほぼ上っていないといって良いと思われます。

1994年というのは、バブルがはじけて就職氷河期が始まった年。

実はワタシも、この年に大学を卒業して就職したのですが、それ以来、初任給が殆ど上っていないという事実に驚きです。

なぜ、今の日本のお給料はこんなにも停滞しているのか?

ワタシとしては、やはり、終身雇用制(プラス年功序列制)に依るところが大きいと思うのです。

とはいえ、「終身雇用制(プラス年功序列制)だとお給料が上らない」というわけではありません。

戦後の日本の高度成長期においては、終身雇用された従業員のお給料は右肩上がりでした。そして、高度成長期を支えたのが終身雇用制でした。

ただ、成長を終え成熟期に入った経済においては、終身雇用制ではお給料は右肩上がりというワケにはいかないということです。

逆に考えてみるとわかりやすい。

つまり、雇用の流動性が高いと、お給料はどうなるのか?

雇用の流動性が高い経済では、お給料は、インフレ率をベースに上昇していきます。

なぜなら、流動性の高いジョブマーケットで従業員を確保する為には、会社はお給料を上げる必要があるからです。

定期昇給がインフレ率より低い場合、既存の従業員は他所に行くかもしれません。

少なくとも英国では、よほどの大会社やネームバリューがある会社でない限り、従業員を確保するためには、目先のお金(=お給料)で釣る必要があります。

大会社や有名企業は、比較的、平均給与が低い傾向にあると思います。
なぜなら、お金で釣らなくても従業員を確保できるからです。

それはなぜか?

大きな会社はつぶれにくそう=安定している=長く働ける。
→安定性とお給料を天秤にかけて、お給料を取るケース。

大企業や有名企業だとスケールの大きな仕事が経験できる。
→自分のスキルアップの為に、一次的にお給料を犠牲にするケース。

大会社や有名企業で働いた経歴があると、次の転職に有利。
→自分の履歴書の見栄えをアップする為に、一次的にお給料を犠牲にするケース。
次に転職する際には、小さな会社のマネジメント層を狙う。

とまあ、この様に、大会社にはお給料以外に従業員を惹きつける魅力があるので、目先のお金で従業員を釣らなくても良いのです。

一方小さな会社は、自社のネームバリューで従業員を確保する事ができないため、目先のお給料で釣るわけです。

また、英国では基本、同一労働同一賃金ですので、もし今働いている会社では、上のポジションが詰まっていて昇進できない場合、同じポジションに留まる限りは、お給料はインフレ率程度しか昇給しません。

インフレ率と同じ率の昇給とは、つまり、お給料据え置きです。

そういう場合、どうするかと言いますと、転職してお給料を上げようとするのです。

他の会社には、より良いお給料がもらえる、上のポジションに空きがあるかもしれませんからね。

そうやって、上のポジションを求めて去ってしまった従業員の穴を埋めるため、去られた方の会社側は、退職者のポジションの求人を行うわけですが、その際には、その時点でのジョブマーケットの給与相場で募集しないと人が見つかりません。

そうなると、大抵の場合は、辞めてしまった人よりも高いお給料水準で募集する事になるのです。

英国では、ずっと同じ会社で、同じポジションで働いていると、ジョブマーケットよりも低い水準のお給料で働く事になってしまうのです。

それでも安定性を求めて、同じ会社で働くことを選ぶ人もいますし、より良いお給料を求めて転職する人もいます。

つまり、健全なジョブマーケットでは、安定性とお金は両立できないもので、安定性を求めたら、お給料は上らないのです。

日本の終身雇用制が機能不全を起こしているのは、そこら辺に原因があると思われます。
日本では、安定性がある正社員は、安定性がない派遣社員よりもお給料が高い。
安定性がある大企業は、安定性がない中小企業よりもお給料が高い。

つまり、大企業の正社員の一人勝ちです。

そして大企業としては、「高いお給料を払って」「終身雇わなければいけない」正社員は負担が重いため、正社員を雇う事を敬遠し、おまけにお給料が高い中高年正社員を中心にリストラに乗り出すわけです。

でもこれって、戦後の高度経済成長期から、70年近くも続いてきた慣習なので、なかなか変えることはむずかしいのでしょうね。


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