Thursday 7 March 2019

英国籍を剥奪されたIS花嫁について思うこと

2015年に15歳で英国からシリアに渡り、過激派組織「イスラム国(IS)」
に加わっていた英国人女性が、妊娠・出産を機に英国への帰国を希望している。

という問題が、最近の英国を騒がせております。

先日、彼女のオランダ人夫のインタビューがBBCにて公開されました。

Shamima Begum: 'We should live in Holland' says IS husband
なぜ15歳少女と結婚したのか BBC単独取材で元IS戦闘員に聞く

いやあ、このリポーターさん、かなり率直ですね。
でも正直な所、我々一般市民の気持ちを代弁するような
ちょっと聞きにく質問もしてくれて、すこしスッキリしました。

そして、BBCのエディターさんも、これをカットしなかったという事は、
この内容で世間に公開するべきだと判断したのでしょう。
さすがBBC、なかなかやるなあ。

英国は、彼女の国籍剥奪を決めましたが、彼女の家族とその弁護士は、
当時の彼女が15歳の子供で、適切な判断力がなかったという事と、
彼女のおかれていた環境(学校やコミュニティー)が、
彼女に悪影響を与えた可能性に言及し、
つまりこれは彼女だけの責任ではないので帰国させてくれと、主張しているようです。

通常、国籍を剥奪することによって当人が無国籍となってしまう場合には、
国籍を剥奪することはできないのという事ですが、
英国は、彼女の母親がバングラデシュ人であるという事で、
彼女もバングラデシュ人国籍があるはずだという事を根拠に、
英国籍剥奪を決めたようです。

ただこれは、単に厄介者払いをしたという風にも見えなくもない。

自国民から出た厄介者は、自国で裁いて罰するべきだという考え方もあります。
彼女についても、帰国を認め、英国でそれ相応の罰を与えるべきだという声もあります。

そしてそれは、至極、真っ当な考え方だと思います。

でも、そこでワタシが、個人的に心配だなあと思うのが、
そして、その為に英国の内務省は思い切った決断をしたのではないかと、
穿った見方をしているのが、次の2点です。

  • 当時の彼女が未成年あったということ。
  • して、小さな子供がいる事。

たいてい先進国では、未成年に対する懲罰が極端にゆるい。
そして、小さな子供がいる親にもたいそう甘い。

なので、彼女がもし英国に帰国を認められ、裁判にかけられたとしたら、
弁護側は絶対に、当時未成年だったから~周りにも責任が~とか
そういう事を言い出して罪を軽くしようとする。

おまけに、乳飲み子がいる~とか、同情を買おうとするかもしれない。

で、意外と軽い判決がおりてしまう危険性もあるのですよ。

でも、私は思うのですよ。

インタビューの中で彼女の夫が、

「どうやったら彼女が危険な存在になりえるのか理解ができません」

といいますが、逆に我々は、

「どうやったら彼女が危険な存在にならないと信じられるのか分かりません。」

彼女の夫がなんと言おうと、彼女自身がなんと言おうと、
過去に彼女が自らの意思でISに参加したという事実によって、
もう我々は、彼女を信用することが出来ないのです。

もし本当に改心していたしたら可哀想だけれども、信用はできない。
→ だから許さない。

英国民の大多数は、こちら側の意見だと思います。

信用できないけれども、もし本当に改心していたとしたら可哀想。
→ だから許そう。

という人は少数派だと思います。

そしてこの場合、多数派の意見をとって、それが間違っていた場合は、
被害をこうむるのは本人のみ。

少数派の意見をとってそれが間違っていた場合、
被害をこうむるのは大多数。

今回の英国の決断は、英語では For the greater good といいますが、
大多数の利益と本人の利益を天秤にかけた結果なのかなあ。

For the greater good :a general advantage that you can only gain by losing or harming something that is considered less important.

No comments:

Post a Comment